ウルム造形大学の教授で、彫刻家、デザイナー、建築家であるマックスビルの作品集を購入。
2Gシリーズから出たもので、図版も豊富。
マックスビルを彫刻家、としての側面、デザイナーとしての側面から見てまとめた本は数多くあるが、建築家としてのマックスビルに焦点をあてた本は今までなかった。
本当になぜなかったのだろうと思うがなかったのである。

ビルの建物は、シンプルなモダニズム建築といった特徴をもったものが多い。
ウルム造形大学やアトリエなどがそれに当てはまる。
シンプルな矩形の組み合わせで形づくられた建物は現代スイス建築の特徴ともオーバーラップする。
矩形であるが素材にこだわっているところも共通するところだろう。

1942年に建てられたVilliger Houseという作品も興味深い。
この作品は、スイスボックスといったものではなく、古い日本建築を思い起こさせる。
この建物は、彫刻家オリバークルーゼによって建てられた、One Man Houseに非常に似ている。(ビルの建物の方が先に立てられた。)
西洋の彫刻家にとって、日本建築は興味をそそるものなのだろうか。
シンプルな表現を好む作家達にとって、簡素な日本建築が興味ぶかく写るのかもしれない。

彫刻家のつくった建物としてもう一つ有名なのはInsel Hombroich Museumである。
Erwin Herichによってつくられたこの美術館と、Max Billの建物を比較するのもおもしろそうだ。
Insel Hombroich Museumが、建物規模の彫刻であるのに対しMax Billの建物は彫刻ではないのである。十分機能性が考えられている。Insel Hombroichが美術館で、Billの作品が一般的な機能の建物だという違いはあるが。
Billは、彫刻家、デザイナー、建築家という複数の顔をもっていたけれど、それぞれ混同することなく、作品をつくったんだなあと思う。