サインコレクション1,畠山直哉


僕は、アートに興味を持ちだした頃、美術館の展覧会ばかり見ていたんですね。
それで、その後しばらくしてから、小さな現代美術専門のギャラリーってものがあることに気付かされた訳です。
ギャラリーに、通うようになって気付かされたのは、アート作品も商品なんだってことなんです。もちろん作品によって値段の差はありますが、アート作品も買うことができるんだ。っていう当たり前のことを認識させられて、ちょっとアートの見方が変わりました。

でも、実際にギャラりーでつけられている値段を見ると、「高いなー」とうなってしまうこともしばしば。まだ手が出せません。
そんな、庶民な僕が、ちょっと前から集めているのが、アーティストのサインなんですね。「サインなんてもらってどーするの」とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、なかなか侮れない。サインにもそれぞれ個性があり、それ自体が作品にも思えてくるのです。そして、時には、サインのよこに、作品を描いたりしてくれたりすることも・・・。まあ、そんなわけで、サインを集めたりしております。

そんな、コレクションの中で今日紹介するのは、写真家、美術家、畠山直哉
のサインです。畠山直哉は、第22回 1996年度木村伊兵衛写真賞を受賞しています。
代表的な作品に、ライムワークスという石灰岩の採掘場を写したシリーズがあります。非常に、クリアで、ディテールまで鮮明な写真は、ドイツ写真の流れを感じることができます。

さて、畠山のサインを見ていきましょう。
うーん。読めない。でも、なんかこなれてますね。勢いがあって、ビュッフェの先鋭的なサインを想起させます。彼の作品から感じられる精密さとは、逆の荒々しさも感じられます。ちゃんと、日付と名前を入れてくれるあたり丁寧ですね。

今回のコラムを書くにあたって久々に、本棚から作品集をひっぱりだして、ぼーっとサインを眺めていたのですが、実際に作家とあって話したことや、もらう瞬間の記憶が鮮明によみがえってきました。皆さんも、機会があったら、作家と直接話して、サインをもらってみたらいかがですか?アートが少し身近になった気分も味わうことができますよ。