アートと記憶


ここに写っている破片は何でしょう?
これは、下の写真の建物の外壁の破片なのです。
(削って取ってきたわけではないので、その辺りは、配慮して下さい)

いままでに、アーティストの作品。
アーティストのサインなどを集めているということを書いてきましたが、
建築家の設計した建物に関するモノも集めているのです。
この建物を設計したのはピーター・マークリというスイス人建築家。
この破片は、大学時代、旅行をした際に手に入れた物です。

僕が、建物の破片を集めているのには、
他のコレクションとは違った意味があるように思います。
手で、さわり、触覚を確かめていると、
その時の様子が鮮明によみがえってきます。
それは、たぶんそのかけらに、
現地を訪ねた際の記憶が封じ込まれているからでしょう。

記憶に関しての記述には、プルーストのマドレーヌが有名ですね。
マドレーヌを口にした瞬間、
過去の懐かしい記憶がよみがえったというあのエピソードです。

人の体の中には、それぞれの経験や、記憶が蓄積されていて、
その蓄積があるものに反応し、よみがえってくるのではないでしょうか。

この記憶のシステムを、アートを見るときにも感じる事ができるのではないでしょうか。
例えば、高木正勝の映像作品。

僕は、それを見るとき、とてつもない懐かしさを感じます。
それは、作品の中に、懐かしさを想起させる、
パーツが埋め込まれているからだと思うのです。

アートを見たとき、沸き起こる、感情、記憶。
それらが、アート作品の何に起因するのか?
そんな事を考えてみるとアートを深く考えるきっかけになるかもしれません。