パン人間から思うこと。

引っ越しで詰めた段ボール箱をあさっていたら、こんなものが出てきました。
見てのとおり、フランスパンです。
でも、ただのフランスパンではないのですよ。
アーティスト折本立身 のパフォーマンスアート「パン人間」に使われたパンなのです。
折本は、NYでナムジュン・パイクのアシスタントを勤め、
後期のフルクサスにも参加していたという経歴を持っています。
彼の「パン人間」というパフォーマンスアートは、
フランスパンを顔に縛り付けた折本が、街を練り歩くというもの。
それ以上でも、以下でもありません。
折本は、このパフォーマンスを世界各国の都市で行っています。


僕が、この作家の活動を見ていて感じるのは、継続することの力です。
作家は、顔にパンつけることに対して、ほぼ何も語りません。
ただ、顔にパンをつけ様々な場所でパフォーマンスを繰り返す。
そのことによって、最初の発想に、意味がなくても、
行われる場所、見る人によって、色々な解釈が生まれ、認知されていく。
折本の作家活動からはそんな側面を見て取ることができます。

かつてオノ・ヨーコは、「有名になりたければ、ずっと丸を書いていればいい。」
というようなことを言っていたそうです。
確かに。
草間彌生安藤忠雄などなど・・・それぞれ反復するものを持っています。
そしてそれが、アイデンティティーになっている。

そんな、彼らの生き方は、
何かをあきらめそうになったとき勇気を与えてくれるような気がします。
彼らのように、わかりやすい記号となるものでなくても、
自分の中に何か一つ信念のようなものを持って繰り返していればしていれば、
いづれモノになる。そんな気を起こさせてくれるのです。